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1973年のピンボール

あらすじ

僕は大学を卒業し、翻訳の仕事を始める。

家にはなぜか若い双子の姉妹が住み着く。

鼠は相変わらずジェイズバーに通い、ビールを飲んでいる。

僕は、すでに絶版になったスリーフリッパーのスペースシップというピンボール機種に

なぜか異様なこだわりを見せ血眼になって探しまわる。

感想

一つ目のテーマだと思っているのはコミュニケーション

以下、風の歌を聴けの感想でも書いたが、

僕は相変わらず、誰かの物語を聞いているようで

本作冒頭でも見知らぬ土地の話を聞くのが好きで様々な人から

出身地の話を聞いていたと書かれている。

風の歌を聴けは村上春樹のデビュー作 タイトルの意味と自己療養の手段としての小説、物語ることについて

僕の仕事は翻訳で、それは誰かが書いた伝えたいことを引き受け、

他の誰かに伝えることである。

鼠は相変わらず自分の話を他人にうまく伝えることができない(しないのか)
僕の部屋にはなぜか電話でのコミュニケーションを司る配電盤もある。

その配電盤が古いものから新しいものに変えられ、登場人物にも変化は起こる。

もうひとつのテーマは青春の終わり

ものごとは入口と出口がセットでなくてはならないと書かれている。

ピンボールの玉が入口から入り、ピンにあたっては跳ね返り

収まるところに収まっていく過程と青春の始まりと終わりがリンクしているように見える。

僕がピンボールを見つけるとともに、双子も鼠もどこかに去っていく。

人の話を聞きそれを引き受けるのが得意な僕も耳に耳垢がつまり

これまで通りのことができなくなる危機に陥る。

25歳、様々な出来事とともに青春時代の終わりが告げられる。

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