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アントニーとクレオパトラ

あらすじ

カエサル亡き後、天下は三人の人物に分けられた。

その一人アントニーは、エジプトの美しき女王クレオパトラにぞっこんになり

かつての面影はなくなっていた。

そんな中アントニーは謀反の知らせと妻の死で渋々エジプトからローマに帰る。

謀反は無事鎮圧するも、今度は三頭政治体制のもう一人オクテイヴィアス・シーザーとの

権力闘争に巻き込まれる。

武人としての輝きを完全に失ってしまったと思われていたアントニーで、

周りの部下や味方していた諸国の王も次々に寝返っていくのだが、

戦ってみるとシーザーを全くよせつけず周りを驚かせる。

そんな中、信頼をよせるクレオパトラがアントニーを裏切ったという知らせが入り

アントニーは絶望の中で死を覚悟するのであった。

以下、ジュリアス・シーザーの後の世界を書いている。

人は論点のすりかえに弱い。

感想

この作品も他のシェイクスピア作品と同じように一つの見方だけではなく、

いろいろな見方ができる。

まず、クレオパトラはアントニーを裏切ったのか、

裏切ったという見方も裏切っていないという見方もできる。

裏切ったと見る場合、次々と男を変える女の話になるし、

裏切っていない場合、偶然と誤解が生んだ悲劇になる。

※アントニーを裏切ったのになぜクレオパトラが自殺するのかは

アントニーが死のうとしたのを見て自分が嫌になったのか、

シーザーが自分に決してほれないだろうと判断したからだろう。

クレオパトラは本当にアントニーのことを愛していたのか

ここも読み方次第でいろいろな解釈ができる。

クレオパトラはアントニーの前はジュリアス・シーザーの女だったので

その時に都合の良い男としてアントニーを利用していたのか、

それとも本当にアントニーのことを愛していたのか。

この作品、女にうつつを抜かし本来とれるべき天下を失った男の話、

逆にいえば天下より大事なものを見つけた男の話、

勘違いが生んだ大きな悲劇の話、血みどろの政治劇など見る人によって

色々な見方ができる劇である。

それにしても、クレオパトラは劇中、

ローマに帰るアントニーに帰らないでと泣きわめき、

アントニーに嫌われると、「自分が死んだ」と伝え反応を見る等々、

劇中の言動を見るに、メンヘラ気質が否定できないのである。

でも、なんだかんだいってそんなところがアントニーもかわいかったのかもね。

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