あらすじ
有智子(うちこ)と真名(まな)の父は音楽の道を求め、
姉妹が幼いうちに家族を残しウィーンに行ってしまう。
残された母は早くに亡くなり、
姉の有智子は芸術面の才能を見出せず翻訳家になり、
妹は将来有望な作曲家として育っていく。
ある日、姉妹は父に会いにウィーンに旅立つことになる。
父親に会うのは肉親への想いではなく、
真名の音楽の才能を育てられる人物として父親を認識した
有智子のより現実的な考えによる決断だった。
ウィーンでは、父の予想だにしない行動があり、
予想に反して真名は父の指導を受けようとせず・・
感想
音楽に関わる人たちが多く登場する。
言葉、特に無駄に装飾した言葉について
登場人物の多くは嫌悪感を示す言葉を発する。
登場人物の中でも、特に多弁で現実的に意味のない言葉を多用する
アルヴァは皆の笑いものになっている。
一方で、「万物は言葉から成った」という言葉も登場し、
翻訳家である有智子もどちらかというと、言葉には肯定的であり、
最後はアルヴァとキスして別れるシーンがある。
http://hyasu9491.web.fc2.com/image/2018.01.22.pdf
人間が何かを考えるとき、「学校行きたくない」「会社行きたくない」のように
言葉が使われる。逆にいえば言葉を使わずに人間は考えることができない。
個人的にはこのように本のブログを書いているくらいなので
本は好きで言葉も好きである。
ポジティブシンキングというのも、脳内で流れている言葉を
プラスのものに変換するだけと思っているし、言葉との向き合い方で
人生が変わると思っている。
言葉=思考、言葉を変えれば人格も変わると思っている。