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金原ひとみ デバッガー 感想

あらすじ

愛菜は35歳。仕事はまぁまぁできるし、一人で生きていくこともできる。

27から3年、30から2年それぞれ付き合った彼氏と別れそれ以来彼氏はいなかった。

そんな時、会社の後輩である大山くんから飲みに誘われるようになる。

大山くんは24歳、仕事もできるし、優しい青年である。

デートを重ね、愛菜と大山くんは付き合うようになるが、

愛菜は35歳を迎え自分の顔が若い時より劣化していると感じるようになる。

当然、大山くんはそんなことを気にしてはいないが、

愛菜自身としては、気になって仕方がなくなり、いろいろな整形手術を

繰り返していくようになる。

最初はうまくいっていたが、次第にもっとよくしたいという気になり

手術を重ねていくうちに手術の結果に納得できなくなり、大山くんに会うのもやめ

友達にも心を閉ざしていくようになる。

「ごめん、別れて」と大山くんに別れをつげ、物語は終わる。

感想

金原ひとみの作品は本作品と蛇にピアスしか読んだことはない。

2作品だけなのか他の作品にもいえるのかわかないが、

自分の体の一部を改造するというテーマは共通してみられる。

蛇にピアスはスプリットタン、デバッガーは整形だ。

他の作家の作品では、芥川龍之介の鼻、川上未映子の乳と卵が思い浮かぶ。

鼻は、生まれつき長い30cmくらいの鼻を何とかして短くする話、

乳と卵は豊胸手術である。

いずれの作品も改造の結果はあまりポジティブではない。

デバッガーの愛菜は、顔に手を入れるにつれ違和感が増し最後は恋人と別れる。

蛇にピアスのルイは舌が裂けるにつれ、なぜか生きる気力がなくなる。

鼻の内供(ないぐ)は人並みになった鼻をかえって笑いのタネにされ、変えなければよかったと思う。

乳と卵だけは少し毛色が違う。元々、崩壊していた親子関係に豊胸手術により対話が生まれる。豊胸手術はたしか実際に行われていなかったような。。

繰り返しになるが、主に見た目にかかわる身体の一部を変えることを希望していたけど、

実際にやってみたらネガティブな結果になるというパターンだ。

なぜこうなるかはわからないけど、小説としては「変わってよかった」と

ハッピーエンドになるより、「変えたけど・・」と悶々としている方が面白いは面白い。