あらすじ
①ベニスの青年バサーニオは、海外の富豪ポーシャに求愛しに行くきたいが、お金がない
②バサーニオは友人の資産家であるアントーニオに航海費の援助を申し出る
③アントーニオはちょうど手持ちがなく、ユダヤ人の金貸しシャイロックから金を借りる
④アントーニオは3カ月の期限で借金したが、そのころには航海に出している船が戻ってきてお金を返せるとふんだ
⑤金貸しシャイロックは期限内にお金をアントーニオが返せなければ、アントーニオから肉1ポンドをもらうと約束
⑥バサーニオは航海に出て、無事ポーシャの心を射止める
⑦しかし、アントーニオの船が難破したという噂があり、金貸しのシャイロックは肉1ポンドを心臓から切り取ろうとし裁判になる。
⑧ポーシャが法学者に扮し、裁判に登場
⑨肉1ポンドは切り取れるが、血は流してはいけないという理屈で、アントーニオは救われる
⑩アントーニオの船が無事だったこともわかり大団円を迎える。
人種差別問題について
ユダヤ人であるシャイロックはかなりひどい仕打ちを受けていることがわかる。
サラーリオ:なあシャイロック 契約を履行できなかったといって
まさか肉をそぎとるようなまねはしないよな 何の足しにもならん
シャイロック:なるとも 釣の餌ぐらいにはな 少なくとも復讐にはなる
奴は俺を馬鹿にした ことごとく俺の邪魔をして
俺の損をあざ笑い 俺の稼ぎを罵った
俺たちユダヤ人を侮辱し 取引の妨害をし
俺の味方をしり込みさせ 敵を煽った
何のためだ 俺がユダヤ人だからだ
ユダヤ人には目がついてないとでもいうのか
ユダヤ人には手がないとでもいうのか
ユダヤ人にはハラワタが 手足が 感覚が 感情が
情熱がないとでもいうのか
キリスト教徒と同じものを食い 同じ武器で傷つき
冬には同じように寒がり 夏には同じように暑がるんじゃないのか
ユダヤ人を刺しても血が流れぬとでもいうのか
ユダヤ人をくすぐっても笑わないとでもいうのか
ユダヤ人に毒を盛っても死なないというのか
ユダヤ人なら迫害しても復讐できないというのか
ユダヤ人だってキリスト教徒と同じ人間だ
もしユダヤ人がキリスト教徒に悪を働いたらどうなる 復讐だ
もしキリスト教徒がユダヤ人に悪を働いたらどうだ
キリスト教徒のお手本にしたがって 復讐するのみだ
キリスト教徒が教えてくれたとおりに 復讐するのだ
キリスト教徒の教え以上にうまく出来なかったら 腹の虫が納まらぬ
キリスト教徒による結婚の独占について
あらすじで書いたようにバサーニオとポーシャは結婚する。
バッサーニオの友人ロレンゾとシャイロックの娘ジェシカも愛し合っており結ばれる。
また、バッサーニオの友人グラシアーノ はポーシャの付き人ネリッサと結婚する。
ポーシャはバサーニオと会う前にモロッコ公との結婚を拒否している。
シャイロックは娘をキリスト教徒に奪われる。
どこかの評論で読んだのですが、キリスト教徒だけが子孫を残せるようになり
それ以外は子孫を残せないようになっている。
上記、どこかで評論を読んだがどの本だかは忘れてしまった。
なぜアントーニオは結婚しないのか
最後に3組の男女が結婚してこの話は終わるが
アントーニオだけぽつんと最後に一人で終わっている。
キリスト教徒でお金も持っているがなぜアントーニオは結婚しないのか
アントーニオにシェイクスピアがマイナスに解釈する何かがあるからだろう。
ゲイだったという説もあるし、個人的には容姿が醜かったということであれば話は通ると思っている。
冒頭の憂鬱を訴える場面も、自分の容姿について悩んでおり
本人もそれをはっきり口に出せず、周りも憂鬱の理由として
アントーニオに気を遣い、容姿の醜さが憂鬱の原因なのか質問することはない。