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パン屋再襲撃 感想

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あらすじ

パン屋再襲撃について、僕は妻に話すべきかわからなかった。
その時、僕は妻と結婚をして2週間ほど経つ深夜に
二人ともひどい空腹になっていた。

冷蔵庫を探すが、空腹を満たしそうなものは何もなかった。

そんな時に僕は妻に昔行ったパン屋襲撃の話をした。

僕は昔の相棒と一緒に働かずひどく貧乏で暮らしていて
飢えを満たすためにパン屋を襲撃した。

パン屋の店主は襲撃した僕たちに対し
「ワーグナーの音楽を聞いてくれればパンを渡す」といい
僕たちはワーグナーを聞き、パンを奪っていった。

その話を聞いた妻は僕にもう一度パン屋を襲撃するように言う。
僕と妻はパン屋を探しにいったが、夜中なので空いているパン屋が見つからない。

妻はパン屋の代わりにマクドナルドを襲うように言う。

僕と妻はマクドナルドを襲い、ビックマック30個を奪い、店を出る。

感想

一回目のパン屋襲撃の時、僕は働いていなかった。
ひどく貧乏だったが、労働を好きにならず
パン屋を襲撃し、飢えを満たそうとした。

当然ながらパン屋襲撃は犯罪であり、
働かずにパン屋を襲撃し暮らしていくことは許されない。

襲撃先のパン屋の店主からワーグナーを聴くことを条件に
パンを譲り受けるという奇妙な経験をした僕は、
働かずに暮らしてきた相棒と別れ、法律事務所で働き始める。

僕と社会の関係はパン屋襲撃の前と後で変化している。

それから時がたち、僕は結婚し、今度は妻とパン屋を再襲撃する。

パン屋を襲撃しようとするが、
前と同じようにパン屋を襲撃できないこと(代わりにマクドナルドを襲撃)は
僕をとりまく環境が以前とは変わっていることを示している。

僕をとりまく環境が変わったことは、
襲撃先の人のリアクションからもわかる。

以前の襲撃では、店主はワーグナーを聞くことを条件に
パンを僕に与えたが、それは僕が社会的に成熟していない
未熟な若者だったからだ。

店主とは対等の存在ではなく、大人と学生のような関係だった。
大人が子どもに教えを与えるように、パンを与え、
合わせて教養になるクラシック音楽を聞かせてみせた。

店主は与える側の人間で僕たちは与えられる側の人間だった。

店主とのやり取りで強いショックを受けたと僕は認識しており
ことことが働き始めるきっかけになったのかもしれない。

パン屋再襲撃の時の僕はその時とは違う。
店員と対等以上の存在であり、店から何かを与えてもらう存在ではない。

店側を傷つける力を持っており、パン屋襲撃の時のある種のトラウマを
パン屋再襲撃で克服したといえる。

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