あらすじ
☆前提
・マクベスは強い軍人
・マクベスは奥さん持ち
・マクベスは国王に仕えている
①マクベスは戦争に勝ち、帰ろうとするときに3人の魔女に会い「やがて王になる」と言われる
②帰ってきたマクベスは奥さんにそのことを話す
③ちょうど王様がマクベスのところに泊まりに来ることになる
④マクベスは奥さんから「王様を殺せ」と言われ、証拠を残さず殺し、王になる
⑤王になったマクベスは以前の王の親族や自分の邪魔になる人を殺そうとする
⑥マクベスは旧勢力に反感を買い、やがて謀反で殺される。
というシェイクスピア作品にはありがちな話です。
マクベス夫人について
マクベスは王になること、王を殺すことにあまり積極的ではなかったのですが
マクベス夫人の方が非常に強気にたきつけて、王を殺させます。
軍人のマクベスより勇ましく、イケイケです。
魔女が予言し、奥さんが背中を押す。
マクベスは女性により王殺しを実行させられます。
しかし、マクベス夫人は冒頭、王殺しをマクベスにやらせるなど
冷血な女性として描かれていますが、最後に敵が攻めてきた時に
夢遊病になってしまいます。
マクベス夫人は夢遊病に冒されている。侍医と侍女が隠れて見守る中、マクベス夫人は夜中に起き出して、手を洗う仕草を繰り返す。「血が落ちない」とつぶやき、ダンカン王殺害時の言葉を喋り、バンクォーやマクダフ夫人殺害を悔い、嘆き続ける。侍医は治療の手立てはないと判断する。
マクベス夫人はなぜ夢遊病になってしまったか
マクベス夫人がマクベスの状態を示すバロメーターになっている。
よく言われるように、マクベス夫人には名前がない。
マクベスとセットになる、マクベスの副産物として
考えてもよい人物だ。
マクベス夫人の状態はマクベスの状態を示すバラメーターとなっている。
マクベスが一家臣から王になりあがっていく時、マクベス夫人も饒舌、
攻撃的な側面を見せるが、マクベスの勢いがなくなるにつれ、マクベス夫人の
様子もより消極的になっていく。
罪の意識
一番自然なのは、どんなに冷血な人でも、罪の意識は感じてしまうということ
王を殺してしまったことに対する罪悪感かもしれないし、
マクベスを王殺しにしてしまった罪悪感ともいえる。
マクベスは王を殺した後、何を考えていたかわからない。
眠りを殺したといっており、後悔し夫人を恨んでいたかもしれない。
マクベスは王殺しをしたことで王にはなれた。
だが、安心して日々の生活を送ることはできず、
常に敵を作り敵を殺すことを考える生活になった。
関係の変化について
マクベスとマクベス夫人の関係は、王を殺す前と後で明らかに変化している。
というのも、王を殺すとき、マクベスは予言の内容をマクベス夫人に相談して
都度指示を仰いでいたが、王を殺した後はそうしない。
残った敵を殺そうとするときも、もう一度魔女に予言を聞いた後も
マクベス夫人に状況を相談することはなくなる。
これも、マクベス夫人の狂気に何か影響を与えたかもしれない。
マクベスの幻想
そもそも、魔女はマクベスの王になりたいという潜在的な欲望が
作り出した幻想ではないかと思った。
事実、最後に魔女とマクベスが会ったとき、マクベスの付き人〈誰だったか〉には
魔女が見えていなかった。
ハムレットが見た父親の亡霊も同様に妄想だったという評論は以前見た。
ただ、冒頭にバンクォーにも魔女が見えていたので、この説はちょっと微妙
王殺しについて
マクベスに殺されたダンカン王がどのように王になったのか書かれていない。
マクベスは先王を殺し、次の王に殺された。
ダンカンも前の王を殺して王になったとしたら、マクベスがやったことも
薄れて見えてしまう。
シェイクスピアの歴史劇は特に王を殺し王になり、最後に殺されるという構造が多いので、
ダンカンも先王を殺していたかもしれない。