あらすじ
唐の時代に李徴(りちょう)という優秀な若者がいた。
優秀ではあったが、自尊心が強いところがあり
上司に屈する一介の官吏の身分に満足できず
詩人になろうと考えた。
しかし、なかなか芽が出ず、
妻子を養う金ため地方の下級官吏の職に就く。
そのころには自分が見下していた連中が
自分よりはるか上の立場になり、屈辱的な思いをしたすえ、
河南地方へ出張した際に発狂し、そのまま山へ消えて行方知れずとなる。
気がつくと李徴は虎になっていた。
その翌年、李徴の旧友で監察御史となっていた袁傪(えんさん)は、
旅をしている途中、虎に襲われかけたが、その虎が李徴だと判明する。
李徴と袁傪は旧交を温め、
李徴は自分の詩を後世に残してほしいことと
妻子の面倒を見てもらいたいと袁傪に頼む。
袁傪はこころよくそれを受け入れる。
李徴曰く「自分が虎になったのは自身の臆病な自尊心尊大な羞恥心、またそれゆえに切磋琢磨をしなかった怠惰のせいである」と
率直な感想
率直にこれぐらいのことで虎にならなくてもいいんじゃないかと
確かに、周りの人と交わらなかったり、怠けていたりすることは
あまりよくないことかもしれないけど、虎にしなくてもいいんじゃないかと
というのが素直な読み終わった時の素直な感想でした。
だって俗悪な代官とか冒頭に記載ありましたが、そっちの方がよっぽど悪そうですし
李徴がかわいそうだと思いました。
李徴自身が悲しみを語る演出をとったからですね
これがないとただの狂人で終わってしまいます
なぜ李徴は虎になったのか
なぜ李徴は虎になったのか
自分が目指すところには遠く及ばないし、人格にも少し問題があるようだ
ただ、悪いことをしているわけではないし、
ちゃんとした職を持っているし目標を持って頑張っている。
冒頭には俗悪な代官という言葉が出てきており
李徴が並外れて人の道を外れているわけではないと思う
読んでいて思ったのは、自己肯定感の低さが原因だと思った。
自分の経験上も、人と接している時も、自己肯定感が極度に低いと
人間性にかなり影響を与えるように思う。
世間を驚かすような事件を起こす人もけっこう自己肯定感が
低かったりするイメージがある。
現実に虎になることはないと思うけど、
自己肯定感の低さは李徴を虎にしたように
人間性を変えてしまう力がある(経験からの何となくの仮説)